古の物語の登場人物と同じ地平に立つには 古い物語や、昔の人が使っていたもの、作ったものと対峙する時、自分が立っている地平と別の世界を想像する。 物語もふるい物も、彼らが生まれた時から一度も潰えることなく存在し続けて、いま私の眼前までたどり着いたというのに。 ふるい物や情報との間に感じる断絶の正体は何なのか。長い時間をかけて少しずつ変容してきたであろう彼らの形によるものなのか、 それとも、文明という強い光源で照らされて見えなくなってしまった私の想像力のせいなのか。 彫刻という重く遅い視覚メディアを用いて、ふるい物と私たちの間にある、断絶とつながりを 再考することを試みができるのではないかと考えた。神話や昔話に登場する人々と同じ地平に立つために。 額賀苑子

Opening Exhibition
「MUSE」

2024.3.1 (Fri.) -3.10(Sun.)
13:00-19:00　月火水定休

「アートを身近に感じてもらいたい」「作家さんを応援したい」という想いからスタートした当ギャラリーも、1年間限定のチャレンジショップ「創の実」自由が丘を経て、新天地「根津」に「ココロ踊るアートと癒しの空間～アートトリートメントギャラリー」をテーマにグランドオープンいたします。
オープニング展示では、「MUSE」というテーマを作家に投げかけ、そのぞれの中にある、あるいはもたらされた「MUSE」を制作いただきました。
岩田圭音、高橋まき子、額賀苑子、福田美菜、ますだ美砂
５名の作家から生み出された「MUSE」をお楽しみください。

岩田圭音　@suiginnoneko
高橋まき子　@makikotakahashi2020
額賀苑子　@nukegechang
福田美菜　@minafukuda_mezzotint
ますだ美砂　@masudamisa

展示コンセプト

「MUSE」には、女神のほかに思いを巡らすという意味などがあります。

私たちそれぞれには、唯一無二の本質があり、誰一人同じひとは存在しません。
それは私たちを形成してきた背景によって培われ、そして、育ちます。
私たちが楽しく健やかに過ごす日々の移ろいのなかで、
一人一人に、さまざまな「MUSE」が存在していると考えました。それは自分だけの「MUSE」なのです。

「MUSE」に寄せて 　　　　　　　　　　　　　　岩田圭音 「MUSE」ときいて、私の頭にふわりと浮かぶのはボッティチェリの「春」の三美神。ギリシャ神話の三美神は、それぞれ「魅力・美貌・創造力」ですが、私の三美神は「細・小・版」。彼女たちは、どこにでもありそうな木々や植物たちに囲まれて輪舞を踊っています。 人間を含むあらゆる生き物は、常に自然の力をいただいて生きています。その自然の代表格でもある植物たちに敬意を表しつつ、小さな版上で日々ニードルを動かします。
「MUSE」に寄せて 　　　　　　　　　　　　　　岩田圭音 「MUSE」ときいて、私の頭にふわりと浮かぶのはボッティチェリの「春」の三美神。ギリシャ神話の三美神は、それぞれ「魅力・美貌・創造力」ですが、私の三美神は「細・小・版」。彼女たちは、どこにでもありそうな木々や植物たちに囲まれて輪舞を踊っています。 人間を含むあらゆる生き物は、常に自然の力をいただいて生きています。その自然の代表格でもある植物たちに敬意を表しつつ、小さな版上で日々ニードルを動かします。
数年前に夢で出逢った美しい人魚の女神。 淡い光の花を纏ったその女神は、神々しい姿でありながらもどこか親しみがあり穏やかに微笑んでいました。 目が覚めてもその癒しとインスピレーションの高まりは長い間続いていました。 あらゆる事象を受容し昇華させ、新たな世界を創造する女神の存在はしなやかであると共に力強くもありました。それは「自らの中心に立ち返る場所」の象徴でもあります。 その場所に意識を自由に行き来できるようになった時、人は外側で何が起きようと動じなくなるのだと思います。 姿や形は違えど本来誰の心の中心にも存在する穏やかな場所(＝立ち返る場所)を思い出すきっかけとなれたら幸いです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　高橋まき子
数年前に夢で出逢った美しい人魚の女神。 淡い光の花を纏ったその女神は、神々しい姿でありながらもどこか親しみがあり穏やかに微笑んでいました。 目が覚めてもその癒しとインスピレーションの高まりは長い間続いていました。 あらゆる事象を受容し昇華させ、新たな世界を創造する女神の存在はしなやかであると共に力強くもありました。それは「自らの中心に立ち返る場所」の象徴でもあります。 その場所に意識を自由に行き来できるようになった時、人は外側で何が起きようと動じなくなるのだと思います。 姿や形は違えど本来誰の心の中心にも存在する穏やかな場所(＝立ち返る場所)を思い出すきっかけとなれたら幸いです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　高橋まき子
古の物語の登場人物と同じ地平に立つには 古い物語や、昔の人が使っていたもの、作ったものと対峙する時、自分が立っている地平と別の世界を想像する。 物語もふるい物も、彼らが生まれた時から一度も潰えることなく存在し続けて、いま私の眼前までたどり着いたというのに。 ふるい物や情報との間に感じる断絶の正体は何なのか。長い時間をかけて少しずつ変容してきたであろう彼らの形によるものなのか、 それとも、文明という強い光源で照らされて見えなくなってしまった私の想像力のせいなのか。 彫刻という重く遅い視覚メディアを用いて、ふるい物と私たちの間にある、断絶とつながりを 再考することを試みができるのではないかと考えた。神話や昔話に登場する人々と同じ地平に立つために。 額賀苑子
古の物語の登場人物と同じ地平に立つには 古い物語や、昔の人が使っていたもの、作ったものと対峙する時、自分が立っている地平と別の世界を想像する。 物語もふるい物も、彼らが生まれた時から一度も潰えることなく存在し続けて、いま私の眼前までたどり着いたというのに。 ふるい物や情報との間に感じる断絶の正体は何なのか。長い時間をかけて少しずつ変容してきたであろう彼らの形によるものなのか、 それとも、文明という強い光源で照らされて見えなくなってしまった私の想像力のせいなのか。 彫刻という重く遅い視覚メディアを用いて、ふるい物と私たちの間にある、断絶とつながりを 再考することを試みができるのではないかと考えた。神話や昔話に登場する人々と同じ地平に立つために。 額賀苑子
展覧会 MUSE によせて Muse というと、一般的にはギリシャ神話における芸術や学問をつかさどる 9 人の女神を彷彿させます。一方、動詞としては、熟考する、思いめぐらすといった意味もあるようです。 わたしは基本的に銅版画を中心に制作しており、タブロー作品でも版画を刷ったものをコラージュしたり、そこに自在に着彩をしたりといった方法で制作しています。モノクロームの版画作品もあれば、鮮やかな色彩のタブロー作品もありますが、常に作品の根底にあるのは、“いま、ここ、現在地での自分”と“現代という時代”とのギャップや、日常的に自分なりに感じているいまを生きている感覚です。 制作している時間、わたしは版画とタブロー、モノクロームと色彩、具象と抽象といった異なる要素のなかを行ったり来たり、まさに思いを巡らせて、結果いつの間にか作品は仕上がっています。 世界で様々な諍いや不寛容さが蔓延するなかで、個人がこころの平和をきちんと抱えて過ごすことが昨今求められています。美術のみならず、芸術作品にふれることがその手助けとなれば幸いです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　福田美菜
展覧会 MUSE によせて Muse というと、一般的にはギリシャ神話における芸術や学問をつかさどる 9 人の女神を彷彿させます。一方、動詞としては、熟考する、思いめぐらすといった意味もあるようです。 わたしは基本的に銅版画を中心に制作しており、タブロー作品でも版画を刷ったものをコラージュしたり、そこに自在に着彩をしたりといった方法で制作しています。モノクロームの版画作品もあれば、鮮やかな色彩のタブロー作品もありますが、常に作品の根底にあるのは、“いま、ここ、現在地での自分”と“現代という時代”とのギャップや、日常的に自分なりに感じているいまを生きている感覚です。 制作している時間、わたしは版画とタブロー、モノクロームと色彩、具象と抽象といった異なる要素のなかを行ったり来たり、まさに思いを巡らせて、結果いつの間にか作品は仕上がっています。 世界で様々な諍いや不寛容さが蔓延するなかで、個人がこころの平和をきちんと抱えて過ごすことが昨今求められています。美術のみならず、芸術作品にふれることがその手助けとなれば幸いです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　福田美菜
展覧会 MUSE によせて Muse というと、一般的にはギリシャ神話における芸術や学問をつかさどる 9 人の女神を彷彿させます。一方、動詞としては、熟考する、思いめぐらすといった意味もあるようです。 わたしは基本的に銅版画を中心に制作しており、タブロー作品でも版画を刷ったものをコラージュしたり、そこに自在に着彩をしたりといった方法で制作しています。モノクロームの版画作品もあれば、鮮やかな色彩のタブロー作品もありますが、常に作品の根底にあるのは、“いま、ここ、現在地での自分”と“現代という時代”とのギャップや、日常的に自分なりに感じているいまを生きている感覚です。 制作している時間、わたしは版画とタブロー、モノクロームと色彩、具象と抽象といった異なる要素のなかを行ったり来たり、まさに思いを巡らせて、結果いつの間にか作品は仕上がっています。 世界で様々な諍いや不寛容さが蔓延するなかで、個人がこころの平和をきちんと抱えて過ごすことが昨今求められています。美術のみならず、芸術作品にふれることがその手助けとなれば幸いです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　福田美菜
展覧会 MUSE によせて Muse というと、一般的にはギリシャ神話における芸術や学問をつかさどる 9 人の女神を彷彿させます。一方、動詞としては、熟考する、思いめぐらすといった意味もあるようです。 わたしは基本的に銅版画を中心に制作しており、タブロー作品でも版画を刷ったものをコラージュしたり、そこに自在に着彩をしたりといった方法で制作しています。モノクロームの版画作品もあれば、鮮やかな色彩のタブロー作品もありますが、常に作品の根底にあるのは、“いま、ここ、現在地での自分”と“現代という時代”とのギャップや、日常的に自分なりに感じているいまを生きている感覚です。 制作している時間、わたしは版画とタブロー、モノクロームと色彩、具象と抽象といった異なる要素のなかを行ったり来たり、まさに思いを巡らせて、結果いつの間にか作品は仕上がっています。 世界で様々な諍いや不寛容さが蔓延するなかで、個人がこころの平和をきちんと抱えて過ごすことが昨今求められています。美術のみならず、芸術作品にふれることがその手助けとなれば幸いです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　福田美菜
私の作品は和紙で花を造形し、パネルに接着し彩色しています。こうして平面上に立体の造形を組み合わせることで、作品の実在と他者との「今」を共有する一期一会を作り出します。 それは茶の湯における内心の美を求める制約ある場がもたらす出会いに着想を得ており、私は作品という制限ある空間の中で日本文化のこの文脈を更に押し広げながら、利休七則の「花は野にあるように」本質は何かを追求し、あるがままの豊かさについて自由に創造していきたいと思っています。 私は子どもの頃から集団に漂う無言の制約としての「空気」に漠然とした違和感を抱いていました。現代は情報に溢れ、人々は同調圧力の空気の中で社会の背景と化してしまう。私がアートで目指すものは、作品を通して個々が心を解放し、尊厳を見つめること。これは社会の「空気」に対してのレジスタンスでもあり、私からの問いかけでもあります。 　　　　　　　　　　　　　　　　　ますだ美砂
私の作品は和紙で花を造形し、パネルに接着し彩色しています。こうして平面上に立体の造形を組み合わせることで、作品の実在と他者との「今」を共有する一期一会を作り出します。 それは茶の湯における内心の美を求める制約ある場がもたらす出会いに着想を得ており、私は作品という制限ある空間の中で日本文化のこの文脈を更に押し広げながら、利休七則の「花は野にあるように」本質は何かを追求し、あるがままの豊かさについて自由に創造していきたいと思っています。 私は子どもの頃から集団に漂う無言の制約としての「空気」に漠然とした違和感を抱いていました。現代は情報に溢れ、人々は同調圧力の空気の中で社会の背景と化してしまう。私がアートで目指すものは、作品を通して個々が心を解放し、尊厳を見つめること。これは社会の「空気」に対してのレジスタンスでもあり、私からの問いかけでもあります。 　　　　　　　　　　　　　　　　　ますだ美砂

〒152-0035 東京都台東区池之端３丁目３−５

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